■■ 穂高よさらば ■■
作詞:芳野満彦ほか、作曲:古関裕而

 
穂高よさらば また来る日まで
奥穂に映ゆるあかね雲
返り見すれば遠ざかる
まぶたに浮かぶジャンダルム

滝谷さらば また来る日まで
北穂へ続く雪の道
返り見すれば遠ざかる
まぶたに残る槍ヶ岳 

 かつて「歌声喫茶」が盛んだった頃に、よく歌われていたのが“山の歌”であった。
 その中でも私の心をとらえたのがこの曲だったが、今になって古関裕而氏の作曲
だということや、もともと軍歌として作られたものであるということがわかった。
 戦後の登山愛好者たちが、このメロディーに歌詞をつけ歌い始め、広がっていった
のが、この「穂高よさらば」であるようだ。強い意志を感じさせると同時に、哀愁漂う
情緒纏綿たるメロディーが、山男たちの心をつかみ愛唱されたものなのだろう。
 ダークダックスも当時のレコードにこの曲を録音しているが、男声コーラスにぴった
りで、ふさわしいと思われたのも、そうした作曲の経緯によるものなのだろう。