かつて「歌声喫茶」が盛んだった頃に、よく歌われていたのが“山の歌”であった。 その中でも私の心をとらえたのがこの曲だったが、今になって古関裕而氏の作曲 だということや、もともと軍歌として作られたものであるということがわかった。 戦後の登山愛好者たちが、このメロディーに歌詞をつけ歌い始め、広がっていった のが、この「穂高よさらば」であるようだ。強い意志を感じさせると同時に、哀愁漂う 情緒纏綿たるメロディーが、山男たちの心をつかみ愛唱されたものなのだろう。 ダークダックスも当時のレコードにこの曲を録音しているが、男声コーラスにぴった りで、ふさわしいと思われたのも、そうした作曲の経緯によるものなのだろう。